アクアティップス

自分が興味を持った事をダラダラと書いています。ブログは気晴らしです。

アクアリウムでのゼオライトの用途と具体的な使用法について

ゼオライトについて

ゼオライトアンモニアを吸着する事から、アクアリウムでも多く用いられるようになりました。私はアクアリウムでしか使われてないと勝手に思い込んでいましたけど、調べてみるといろいろな場面で使われているようです。逆に驚きました。

ゼオライトは様々な用途に使えるだけあって、様々な種類のゼオライトが開発されています。これから先アクアリウム向けにも高性能なものが販売されるようになるかもしれません。

ゼオライトの効果

ゼオライトには以下の効果があるためアクアリウムでよく使われます。

  1. アンモニアの吸着能力
  2. 軟水化効果
  3. 悪臭除去効果

有害物質のアンモニアの吸着能力はアクアリウムにもってこいの能力です。使い方次第で水換えの頻度を落としたりする事も可能になるでしょう。

軟水化効果についても補足しておきます。軟水とはマグネシウムとカルシウムがあまり含まれていない水と考えて下さい。水草水槽では基本的に軟水が好まれますが、飼育する生体や育てる水草によっては硬水が好まれる場合もあります。

ゼオライトの構造

ゼオライトはケイ酸(Si)とアルミニウム(Al)が酸素(O)が結合した石のようなもので、3次構造と言われる立体構造をしています。この構造の中ではケイ酸(+4価)アルミニウム(+3価)酸素(-2価)を共有しています。中でも酸素原子が多く含まれるため全体的にマイナスの電荷を持っている事になりますが、これは何も吸着していなければの話です。

色々話しましたが、重要なのはゼオライトはマイナスの電気を帯びているので陽イオンを吸着するという事だけです。

ゼオライトの特徴

ほかの濾過材と比べてゼオライトが優っている所は、半永久的に使用が可能な所でしょう。もちろん商品にもよりますが、一般的なゼオライトは塩水に浸けておく事で再生させることが出来ます。活性炭などの効果が一回きりなのに対してゼオライトは何回でも使えます。長期的なランニングコストを考えるとほかのろ材よりも安いと言えるでしょう。また、吸着のスピードも優れていると言われています。

ゼオライトを使いこなす

様々な分野から注目され、広く使われるようになった理由として1番大きいのは、ゼオライトの持つイオン交換能でしょう。水槽ではこの能力によって有害な物質を吸着してくれる事から、ゼオライトを売りにしたアクアリウムの商品が数多く発売されています。ただし、やみくもに使えばいいという訳ではありません。正しい知識を持ってゼオライトを使いこなして下さい。

私がこの記事でハッキリさせたいのは以下の点です。

  1. ゼオライトの能力について
  2. ゼオライト水草水槽で使えるか
  3. アクアリウムでの使い道

特に2.の水草水槽で使えるかどうかは悩みどころです。水草水槽では軟水の方が適していると言われていますし、過剰なアンモニアも害になりますからゼオライト使えば楽勝じゃんと思ってしまいます。実際の所はどうなんでしょうか。後でじっくり説明しますね。

ゼオライトの能力について

ゼオライトアンモニアを吸着する能力がある事は説明済みですが、その能力はゼオライトに備わっているイオン交換能にあります。イオン交換能とはその名の通りイオンを交換する能力の事で、水中の何らかのイオンを吸着して別のイオンと交換してしまいます。

アンモニアの吸着

水槽内では殆どの物質がイオンの状態で存在しているため、常にプラスかマイナスの電気を帯びています。構造の話で取り上げましたが、ゼオライトは全体的にマイナスの電気を帯びているため、水中の陽イオンを吸着します。

アンモニアはどうでしょうか?アンモニアは水槽内で電離してアンモニウムイオンになります。アンモニウムイオンはNH4+で表される陽イオンですからゼオライトによって吸着されます。

ちなみに、濾過が正常に出来ている水槽であればアンモニウムイオンは硝酸イオンまで分解されますが、硝酸イオンは陰イオンですから吸着はされません。あくまでアンモニウムイオンの段階でしか吸着する事はできません。ですから、水槽立ち上げ直後でまだ濾過が正常に出来ていない段階でゼオライトを使用すると、効果があるでしょう。

軟水化効果

ゼオライトは軟水効果がある事で知られています。そもそも軟水というのはカルシウムやマグネシウムがあまり含まれていない〈GHが低い〉水のことをさします。カルシウムイオンとマグネシウムイオンはどちらも陽イオンですから、ゼオライトに吸着されます。

ゼオライトはこれらの物質をアンモニアよりも優先して吸着しますから、カルシウムやマグネシウムが豊富な海水水槽などでアンモニア吸着目的に使用しても効果はありません。この事については「ゼオライトのイオン交換能について」の所で詳しく説明しています。

ゼオライト水草水槽で使えるか

実際のところ、ゼオライト水草水槽であまり使われていません。もちろん濾過の補足的な物として使用する場合もありますが、本格的な水草水槽で使われる事は滅多にありません。理由として考えられるのは以下の点です。

  1. そもそもアンモニアを吸着する必要がない
  2. 軟水化効果が強すぎる〈GHを下げすぎる〉
  3. カリウムの吸着をする
  4. ナトリウムを放出する可能性がある
1.そもそもアンモニアを吸着する必要がない

生体が多かったり、濾過がうまく機能せずにアンモニアの濃度が高くなっているのであれば使用しても問題ないですが、そもそもアンモニアは分解されると水草の栄養素になりますから吸着してしまうのはどうかという話です。ゼオライトの吸着能力は強力ですから、水草が栄養不足を起こす可能性もあります。

2.軟水化効果が強すぎる

軟水化効果についても同じです。カルシウムやマグネシウム水草の栄養素になります。使用する量によりますが、ゼオライトはGH〈カル,マグの総量〉を0まで下げてしまうことがあります。水草水槽のGHは1〜4dhが適正値ですから慎重に使用して下さい。

3.カリウムの吸着をする

水草の栄養素であるカリウム陽イオンであるため吸着されます。アンモニアよりも優先度は落ちるそう〈諸説アリ〉ですが、ナトリウムよりも優先的に吸着されるため、ナトリウム置換〈ゼオライトにナトリウムを吸着させ再生させる〉した場合は少なからず吸着されてしまうでしょう。

4.ナトリウムを放出する可能性がある

ゼオライトはナトリウム置換と呼ばれる方法で再生させることが多いです。そのため別の陽イオンを吸着した時に、もともとあったナトリウムイオンが放出される事になります。微量ですから殆どの場合問題ないですが、水草水槽で塩分濃度が高いと水草が枯れていきますから注意が必要です。

水草水槽での使用方法

ネガティブなところをいろいろ挙げてしまいましたが、水草水槽でも使用することができます。

1.硬度[GH]が高すぎる場合

ゼオライトの軟水化効果を利用しますがGHを測りながら少量ずつ使用して下さい。GHが急に下がるとpHも不安定になりますから徐々に下げるのが1番です。

2.立ち上げ初期に使用する

立ち上げ初期は濾過が上手く回らず、アンモニアが蓄積する可能性が高くなります。水草水槽とはいえ生体が入っていれば害になりますから、初めの数週間だけ使用するといいでしょう。

3.水換え時に使用する

新しく入れる水の中にゼオライトを入れておくことで、完全な軟水を作ることができます。水換えをしても硬度が下がらない場合、水道水の硬度自体が高い可能性があります。そうだとすればいくら水換えしても本末転倒です。同時に匂いや不純物も吸収してくれるので試してみるのもいいと思います。

アクアリウムでの使い道

水草水槽での使用方法は説明しましたから、それ以外で説明します。

1.大型魚水槽

大型魚はそれなりにフンの量も多いですから、濾過が間に合わない場合があります。そんな時にゼオライトを使用すると濾過にかかる負担を軽減してくれるでしょう。

2.カメの水槽

大型魚同様にカメも水をよく汚します。それもあってカメ飼育でゼオライトを使用している人は多いです。

3.水が臭う場合

ゼオライトは悪臭除去の効果もあります。家族から「水槽臭いんだけど‼︎」って言われてアクアリウム禁止になる前に対策しておきましょう。

4.病気の防止

ゼオライトは有害な物質も吸着してくれるため、防止の予防としても使用されます。ただ、エビが入っている水槽では使用しないほうが無難です。ゼオライトはカルシウムを吸着する効果があるため、エビの脱皮不全に繋がるケースも少なからずあります。

ゼオライトのイオン交換能について

「イオン交換能について」とざっくり書いていますが、正確にいうと、どのイオンを優先的に吸着するかということです。これがハッキリ分かれば、ゼオライトを使用すべきかそうでないかを正しく判断する助けになるはずです。

ネット上には色々な情報があり、それぞれ矛盾していたりします。ひとくちにゼオライトと言っても色々ありますから仕方がないのかもしれません。

今回は一般的にアクアリウムで言われている事を踏まえながら、できる限り正解に近づけたつもりですから目を通してもらえると嬉しいです。〈いちばん時間かかったし...〉

ゼオライトが優先して吸着する順番

まず始めはコレ。

ゼオライトアンモニアよりもカルシウム,マグネシウムを優先して吸着する事が知られています。これはゼオライトのもつ軟水化効果の所でも触れました。

特に海水水槽で使用した場合はアンモニアよりもカルシウムが先に吸着されてしまうため、最悪なケースだと水槽が崩壊してしまうこともあります。

参考にした記事のリンクを貼っておきます。かなり詳しく説明されていたので、興味がある人は読んでみて下さい。

ゼオライト・ZEOVIT

さらに別の要素も考えていきましょう。

この実験は、海水下で天然ゼオライトアンモニアをどれだけ吸着できるか比較したものです。とても参考になりました。

佐賀大学機関リポジトリ: 天然ゼオライトを用いたアンモニア除去に関する基礎的実験 : 海水中でのアンモニア吸着挙動とイオン交換による改質

この実験では、海水に溶けたアンモニアは純粋な水に比べて1/5の量しか吸着されませんでした。代わりに吸着されたものは海水に溶けていたナトリウムとマグネシウムです。これらのイオンに占有されてしまうため、アンモニアがあまり吸着されなかったんですね。

この実験から分かることを全て書き出してみましょう。

 

1.アンモニアよりナトリウム,マグネシウムを優先する

2.カルシウムよりマグネシウムを優先する

3.カリウムよりナトリウム を優先する

*2.と3.については資料を読めば分かります。

 

ただし、これは天然のゼオライトを使用した実験です。

1.でアンモニアよりナトリウムを優先するとありますが、本来であればナトリウム置換のゼオライトを使用しますからアンモニアの吸着度も上がるはずです。そもそも海水はナトリウムの濃度が高いですから、アンモニアよりも優先的に吸着されてしまった可能性があります。

淡水ではアンモニアの吸着能力が確認されていますし、この実験では、海水の場合でもナトリウム置換によってアンモニアの吸着率が2倍になったとの記述もあります。

3.のカリウムについても同じです。淡水ではカリウムの吸着能力が確認されています。ナトリウムに比べ優先度が低いとはいえ、ナトリウム置換されていれば多少は吸着されてしまうでしょう。

*ただしカリウムアンモニアと比べると優先度が落ちると思われます。

ナトリウム置換したゼオライトはナトリウムイオンでパンパンの状態です。それを踏まえて考えると、以下の5つに書き換えることが出来ます。

アクアリウムではナトリウム置換が一般的ですから、こちらを参考にした方がいいと思います。もう一度並べ替えてみましょう。

 

Mg.2+ > Ca.2+ > NH4.+ > K+ > Na+

 

もちろんこれが絶対だ!と言っているわけではありません。ゼオライトにも色々種類がありますし、物質の濃度にも関係してくるでしょう。アクアリウムで一般的に言われている事を踏まえると、これが妥当ではないかということです。ふぅ〜....。

鉄イオンも陽イオンですから少しだけ補足をしておきます。

鉄イオンについて

ゼオライトが鉄を吸着して困る!なんで話は聞かないので優先度は低いと思われます。そもそも、鉄イオンは水槽に入るとすぐにリン酸と反応してリン酸鉄になり沈殿するのでプラスの電荷を失います。水草は鉄イオンを速やかに吸収すると説明される理由もうなずけます。

ゼオライトに吸着されるにしろされないにしろ、あまり気にしなくても良いということですね。

吸着順位の色々な説

自分の持論だけ書いて投げるのは良くありませんから補足しておきます。同時に私が疑問に思った点も説明しておきます。

そもそもゼオライトの吸着順位について調べようと思ったキッカケとして、いくつかのサイトでゼオライトのイオン交換順位がこのように紹介されていたからです。ウィキペディアでもこれと同じ説明になっています。

ウィキペディア

アクアリウムで重要なイオンだけ載せています。

  • K+ > NH4.+ > Na+ > Ca.2+ > Fe.2+ > Mg.2+ 

おかしいなと思う人は結構いるはずです。海水水槽を管理している人なら特に分かってもらえると思いますが、カルシウムイオンやマグネシウムイオンがナトリウムイオンより優先度が低いというのは、アクアリウムの常識と合致していないところがあります。

また、先程の天然ゼオライトの実験と比較すると、Mg.2+ > NH4.+になるという所と、Mg.2+ > Ca.2+の所で矛盾してしまっています。海水下の実験ではありましたが、Na+と関係のない吸着順位ですから....ねぇ....うーん....。

イオン化傾向の強いものを優先する説

アンモニウムイオンは単体のイオンではなく、窒素(N)と水素(H)が結合してできたイオンなので、イオン化傾向の横列で比較していません。

  • K+ > Ca.2+ > Na+ > Mg.2+ > Fe.2+

ゼオライトはイオンの状態の物質を吸着します。水中では殆どの物質がイオンですから気にしないでもいいでしょう。また、ゼオライトに吸着かされないかはその物質の大きさにも影響すると言われているので、必ずしもこの通りになるとは限りません。

価数が大きく、同じであれば原子番号が大きい物質を優先する
  • Fe.2+ > Ca.2+ > Mg.2+ > K+ > NH4.+ > Na+ 

なぜ原子番号が関係するのか疑問に思うかもしれませんが、原子番号が大きくなるにつれて原子と電子の引き合う力が強くなるので、全体的にキュッと小さくなります。だから吸着されやすくなるという原理です。ただし、実際には別の物質とくっついたりしているので大きさも変わるはずです。

放射性物質を優先する説

放射性物質は原子の状態が特に不安定なので他の物質より安定したいと思っています。だから他の物質を押しのけてまで吸着されようとする、といった理解でいいでしょう。間違いではないですが、あくまでこれは放射性物質に限定した話で、普通の環境では全く気にしないで良いです。

最後に

特に水草水槽では無い限り、ゼオライトの活躍の場は広いです。大型魚や亀の水槽など水を汚しやすい生体がいる場合には特に活躍します。ゼオライトのせいで水槽がダメになるということはまず無いでしょう。むしろプラスに働くことが多いです。

水草水槽向けのゼオライトも販売されるようになっているのも確かですから、これから先もっと高性能なゼオライトが開発される可能性も充分あります。

ゼオライトのこれからに期待しましょう!